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この夏もテレビ番組やイベントの心霊企画に引っ張りだこだったという怪談家の稲川淳二(68才)。夏以外は何をしているのだろう? 400話を超える怪談話は、全部実話なの? そして工業デザイナーという意外な一面を持つ稲川だが、東京オリンピックの新国立競技場に関してはどう思っているのだろうか? そんな素朴な疑問の数々を本人にぶつけてみると、ゆっくり語り始めた。
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そもそも怪談を始めるきっかけはね、40年くらい前に、オールナイトニッポンのプロデューサーに「怪談をやらないか」と言われたことなんです。ラジオでやったときに、すごく反響があったんですよ。
怪談ライブは今年で23年目、2011年に前立腺がんになっても、公演を休んでいませんからね。あるとき、女性教授が怪談をやるというから聞いていたら、「赤い半纏、着せましょか」って歌って。「これは古典になりつつある」って言うから驚いたの。違う、それは私がいただいた便りを元に作ったんだって(笑い)。それだけ私の怪談が広まっているということ。
夏は怪談ライブで全国を回っていますけど、秋・冬は何をやっているかといえば、“心霊探訪”をしたりしてますよ。心霊探訪といっても、心霊スポットに行っているわけではないんですがね。ネタ探しをしたり、気分転換にもなるし、デザインも考えられるし。そういう土地に行くと、怪談の破片が埋まっているんです。探しに行って何年か経ったりすると、この話とこの話が合うじゃないかとか。破片を組み合わせて形になっていく。そうやってひとつの怪談ができあがっていく。
今まで怪談を400話語ってきたけど、実話をもとにしているから、作るのが大変なんです。納得する答えを出すまで発表しない。中には作るのに10年以上かかるものもありますよ。実話を元にいろんな資料を調べていくから、時間がかかるの。怪談はホラーじゃなくて、もっと民俗学的なもだと私は思っていますから。
芸能界に入る前、元々私は工業デザイナーで、今でもコンペの審査員をしたりして、携わっているんですけどね。怪談はデザインと似ていますよ。デザインでは私、ストリートファニチャー担当なんです、噴水やベンチなどの道路の家具ですね。なにが人間に優しいか、なにが景色を美しくするのか。そして機能的でなくちゃいけない。怪談もよく似ていて、ただ怖いだけじゃいけなくて、思いやりがあって切ない。だから心惹かれるんです。
デザイナーとしては、人の作品をけなすのが一番つらい事なんですけど、新国立競技場に関しては怒っていますよ。競技場の全体的なスケッチがあったでしょ、素晴らしいけど、バカかと思いましたよ。だって、全部空から見た絵ばっかり。空から誰が見るの?
競技場は下から見上げるものですよ。凱旋門だってエッフェル塔だって、下から見上げるからきれいなんです。ダビデ象って頭が大きいの、ご存知でしょ? あれは下から見るとキレイに見えるように、バランスを考えて作っているんです。建物は下から見るものです。あまりにも知らなすぎますよ。